分析をしてみよう(道具編)

 サンプリングをすませてきたら分析に取りかかります。当たり前ですが、分析に必要な道具はサンプリングに出かける前に購入をすませておきます。すぐに分析ができない場合は冷凍庫に詰めて保管をしておきます。

 遺伝子組換えナタネのほとんどは除草剤耐性と呼ばれるタイプのものです。大きく分けるとグリホサートという除草剤に耐性があるタイプと、紛らわしい名前ですがグルホシネートという除草剤に耐性のあるタイプになります。

 先に挙げたグリホサートという除草剤(商品名Roundup Ready(R))に耐性のあるナタネはCP4EPSPSというタンパク質を体の中に作る遺伝子が導入されています。このほかにもいくつか遺伝子が入っています。

 グルホシネートという除草剤(商品名バスタ(R))に耐性のあるナタネはグルホシネートを無毒化するPATというタンパク質を体の中に作る遺伝子が導入されています。このほかにも品種によっていくつかの遺伝子が導入されています。

 ここではCP4EPSPSタンパク質とPATタンパク質と反応する試験紙を使ってテストしていきます。ELISA法と呼ばれるテストで、遺伝子組換えの検査で良くきくPCR法に比べると感度は劣りますが、今回の試験対象は現物そのものですので、感度の問題はありません。確実でとても有効な試験方法となります。

CP4EPSPSタンパク検出用試験紙(以下CP4試験紙)

NEOGEN社製アグロスクリーン(R)CP4ストリップテスト(大豆コーン用)50テスト分。

価格34,000円ぐらいだと思います。
日本ではエア・ブラウン社などが取り扱っています。試験紙の他にマイクロチューブなど必要なものは一通り揃っています。

PATタンパク検出用試験紙(以下LL試験紙)

Trait コーンバルクテストLL

100回分。

価格は7-8万円ぐらいだと思います。日本ではアヅマックス社さんなどが取り扱っています。試験紙の他にマイクロチューブなど必要なものは一通り揃っています。

手袋

無くてもかまいません。ただし作業をする際にはサンプル間の汚染に注意します。

ペッスル

チューブの中でナタネをすりつぶすのに使います。普通はもっていないものですので、爪楊枝やキットに入っているスポイトでもかまわないと思います。

蒸留水

ナタネのエキスを蒸留水で薄めるのに使います。

ストップウォッチ

反応時間を計るのに使います。

記録用紙

結果を記録する記録用紙を作っておくと良いです。使うのが面倒な場合は、こちらで作成した簡単なものを左に置いておきますのでダウンロードして使ってください。

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補足情報

  • 遺伝子組換えナタネにはいくつかのタイプがあります。その多くは除草剤に耐性を持つナタネで、除草剤を散布しけても枯れにくよう耐性遺伝子を組み込んであります。このほかにラウリル酸生産向上タイプなどがあります。

    • Monsanto社の販売する除草剤Roundup Ready(R)(成分名:Glyphosate/グリホサート)に耐性を持つRoundup Ready(R) Canolaタイプ
    • Bayer社の販売する除草剤バスタ(R)(成分名:Glufosinate/グルホシネート)耐性をもつLiberty Link(TM) Independenceタイプの数種
    • Bayer社の販売する除草剤Buctril(R)(成分名:Bromoxinil/ブロモキシニル)に耐性を持つWester-Oxy-235タイプ

  • 除草剤耐性ナタネには、種子形成のコントロールや収量を改良する目的で、花粉を作らせない(自家受粉で種ができない)「雄性不稔遺伝子」を組み込まれているタイプ、雄性不稔遺伝子を持つ固体をふたたび稔性回復させる「稔性回復遺伝子」を組み込まれているタイプ、「雄性不稔遺伝子」および「稔性回復遺伝子」をともに持つタイプがあります。
  • 現在、日本で食品衛生法に基づく食品としての安全性に関する審査が終了している品種は以下の15品種です。(2005年現在:参考URL農林水産省遺伝子組換え植物の安全性確認状況)

    • RT73(GT73), グリホサート耐性分解-->EPSPS系
    • HCN92, グルホシネート耐性-->PAT系
    • HCN10, グルホシネート耐性-->PAT系
    • PGS1, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復-->bar系
    • PHY14, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復-->bar系
    • PHY35, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復-->bar系
    • T45, グルホシネート耐性-->PAT系
    • PGS2, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復-->bar系
    • PHY36, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復-->bar系
    • PHY23, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復-->bar系
    • Westar-Oxy-235, ブロモキシニル耐性-->Oxy系
    • MS8xRF3, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復-->bar系
    • MS8, グルホシネート耐性, 雄性不稔-->bar系
    • RF3, グルホシネート耐性, 稔性回復-->bar系
    • RT200(GT200), グリホサート耐性分解-->EPSPS系


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