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はじめに

 福島第一原発事故により放出された放射性セシウムは、広く日本の各地に拡散をしました。関東より西で今回の事故の影響を受けた大きなトピックスとして世間を驚かせたのは、静岡の茶葉から放射性セシウムが検出されたというニュースぐらいでしょうか。関東以北の生産物が、関東以西に流通され、それらから放射性セシウムが検出されるという事例への関心はあっても、汚染自体が、関西以西はあまり影響を受けていないというイメージの方が多いようです。

 この調査は、京都に住む友人たちから、京都周辺を採取地とする薪をストーブなどで利用したあと、残った灰を送ってもらい、ゲルマニウム半導体検出器を用いて、それらから放射性セシウムがどの程度検出されるかを調査したものです。

試験方法について

結果

以下に示すように、放射性セシウムの検出が確認された。

表1 京都産の薪を燃やしたときにできた灰の放射性セシウム含有量(2013-2014)
No. 品名 生産地 薪の種類 結果 検出限界
Cs137 Cs134 Cs137 Cs134
1 木灰(薪ストーブ用) 京都府南丹市日吉町 杉と檜 21.6 1.7 1.1 0.9
2 灰(陶芸窯の灰) 京都府船井郡京丹波町 7.1 1.9 0.8 0.7
3 薪Aの灰(家庭の薪ストーブ用) 京都府南丹市美山町 「ほとんど」クヌギ、ナラなど 8.5 N.D. 0.7 0.6
4 薪Bの灰(家庭の薪ストーブ用) 京都府南丹市美山町 「ほとんど」クヌギ、ナラなど 42.3 N.D. 0.9 0.8
5 薪Cの灰(家庭の薪ストーブ用) 京都府南丹市美山町 「ほとんど」クヌギ、ナラなど 17.7 N.D. 0.9 0.9
6 薪Dの灰(カフェの薪ストーブ用) 木材屋の廃材、「外国産の木材」の可能性が高い 混ざった廃材 44.3 N.D. 0.6 0.6
7 薪Eの灰(カフェ・宿場の薪ストーブ用) 京都府南丹市美山町 「自分で間伐した」杉 108 N.D. 0.6 0.5
8 薪Fの灰(ストーブ・お茶会用) 主に京都府南丹市園部の廃材、京都府篠山市の赤松 廃材、赤松 19.2 N.D. 0.8 0.7
9 薪G1の灰(薪ストーブ用) 京都府南丹市八木町 2011年,2012年のクヌギ 5.9 N.D. 0.9 0.7
10 薪G2の灰(ペレットストーブ用) 京都府京都市右京区 2012年の杉・ヒノキ 4.1 N.D. 1.2 1.1
11 薪Hの灰(薪ストーブ用) 大分・日田・福岡日川郡の木材、「製材時の端材が主」 2012年に間伐されたも、の杉、ヒノキ、クヌギ 5.3 N.D. 0.9 0.8
12 薪Iの灰(肥料として庭にまく灰) 京都府南丹市日吉町 若い(2,3歳の)果樹(柿の木など)、栗の木 260 128 0.8 0.9
13 灰(A)(家庭の薪ストーブ用) 京都府南丹市美山町、日吉町 美山森林組合の薪 「主に」広葉樹、クヌギ、ナラなど、 +「自宅、近所の庭木、古い牧柵」 6.2 N.D. 1.8 1.4
14 灰(B)(家庭の薪ストーブ用) 京都府南丹市美山町 「主に」広葉樹、クヌギ、ナラなど 48 N.D. 1.7 1.5
15 灰©(家庭の薪ストーブ用) 京都府南丹市美山町 「主に」広葉樹、クヌギ、ナラなど 、(+近所の杉・檜) 30.6 N.D. 1.8 1.6
16 灰(D)(カフェの薪ストーブ用) 木材屋の廃材、「外国産の木材も含まれている」可能性が高い 混ざった廃材 51.7 2 1.7 1.4
17 灰(F)(ストーブ・お茶会用) 主に京都府南丹市園部の廃材、京都府篠山市の赤松 廃材、赤松 20.9 3.3 1.3 1.3
18 灰(G)(薪ストーブ用) 京都府南丹市八木町 2012-13年のクヌギ など 3.6 N.D. 1.5 1.5
19 灰(G2)(ペレットストーブ用) 京都府京都市右京区 2012-13年の杉・ヒノキ 3.4 N.D. 1.5 1.2
20 灰(I)(薪ストーブ用) 京都府南丹市八木町・日吉町、京都府船井郡京丹波町 2012-2013年に間伐されたクヌギ、ナラ、杉、檜など(+新聞・段ボール) 8.1 N.D. 1.8 1.4
21 灰(J)(いろり灰) 京都府篠山市 2013年に間伐された雑木、ナラ等 17.3 3.4 1.5 1.3
22 灰(K)(薪ストーブ用) 大分県国東市、豊後高田市 ヤマザクラ (国東市, 2012)、ヒノキ (豊後高田市, 2012),スギ(国東市, 2011)、クス(豊後高田市, 2012)、カキ(豊後高田市, 2012)、クリ (豊後高田市, 2013)、タブ (国東市),カシ (豊後高田市)、アオキ (豊後高田市, 2012)、(+段ボール、杉の葉) 4.6 N.D. 1.4 1.1

考察

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