はじめに
1996年から食品として認可された遺伝子組換え作物は様々な食品に利用されるようになりました。この調査は、トウモロコシを原材料とするスナック菓子に遺伝子組換えトウモロコシがどの程度使用されているのかを調べたものです。平成13年（2002年）4月から遺伝子組換え作物を使用する食品においては表示義務制度が始まっていますが、この調査は、表示義務制度は行われる前に、どのような使用実態があったかをしめすものです。
- 市販されているコーンスナック菓子・ポテトチップスについて、遺伝子組換えトウモロコシの遺伝子を含有するかどうかについて定性試験を行いました。本結果は定量性を有さず組換え遺伝子の有無のみを検定した結果となります。
- 1999年10月から11月までの期間、東京都内で購入したスナック菓子について分析をおこないました。
- PCR法をもちい、トウモロコシ固有内在性遺伝子（Zein)、組換え遺伝子（CaMV 35ｓPromoter）、組換え遺伝子（NOS Terminater）、組換え遺伝子（Ampicillin Resistant遺伝子)の増幅の有無を確認しました。
結果
以下に示すように、7検体のうち6検体にて組換え遺伝子を検出しました。
- 7検体中、6検体から遺伝子組換えトウモロコシが使われているという結果が出ました。
- ポテトチップスとして売られていたプリングルスマイルドソルト味から組換え遺伝子を検出しました。この製品にはジャガイモおよびトウモロコシが使用されており、結果がジャガイモ由来かトウモロコシ由来かは判断できませんでした。（興味深いのは現在のプリングルスはモデルチェンジにより原材料からトウモロコシが消えていることです。）
| ID
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品名
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製造者・販売者
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結果
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|---|---|---|---|
| 1 | とんがりコーン あっさり塩味 |
ハウス食品（株） | 組換え遺伝子を検出 |
| 2 | おじゃる丸スナック やんごとなきチーズ味 |
亀田製菓（株） | 検出せず |
| 3 | ドリトス メキシカンタコス味 |
ジャパンフリトレー（株） | 組換え遺伝子を検出 |
| 4 | キャラメルコーン スティック |
（株）東ハト | 組換え遺伝子を検出 |
| 5 | プチコーン マイルドチーズ |
ヤマザキナビスコ（株） | 組換え遺伝子を検出 |
| 6 | ポリンキー バーベキュー味 |
（株）湖池屋 | 組換え遺伝子を検出 |
| 7 | プリングルス マイルドソルト味 |
PROCTOR & GAMBLE | 組換え遺伝子を検出 |
*結果は本試料についてのみ有効で、製品全ての組換え、非組換えを保証するものではありません。
補足
- 1999年には遺伝子組換えトウモロコシが使用されていても特に表示などはされずに流通されていました。遺伝子組換え食品に対して、日本がどういう制度を設け対応していくか様々な議論がなされていたまっただ中でした。
- 市民運動をはじめとする消費者や学術的な情報などから現在の表示義務制度が稼働することになりました。消費者運動がこうした制度の形成に大きな働きをした良い実例であるといえます。
- 現在、各メーカーでは表示義務制度に基づき、製品に表示をおこなっていますが、「不使用」との表示があっても、混入率が5%未満であれば遺伝子組換えトウモロコシが入っていても「不使用」と表記されますので正しい理解が必要です。
- 「加工工程後も組みかえDNAまたはこれによって生じたタンパク質が残存するもの。ただし、重量比で5%以上の原材料で、上位3位までのもの。」には表示義務があります。
| 従来の作物と組成栄養価が同等のもの
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|---|---|
| 義務表示
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表示不要
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| 加工工程後も組みかえDNAまたはこれによって生じたタンパク質が残存するもの。ただし、重量比で5%以上の原材料で、上位3%までのもの。 | 組みかえDNAまたはこれによって生じたタンパク質が加工工程後に除去・分解、食品中に残存しないもの |
大豆（枝豆、大豆もやしを含む）
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大豆
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| 従来の作物と組成栄養価が著しく異なるもの
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| 義務表示
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| 高オレイン酸大豆(脱脂により高オレイン酸形質がなくなったものを除く) | - |
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農民連食品分析センター
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